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南唐書 (陸游)
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『'''南唐書'''』は、[[南宋]]の[[陸游]]撰、全18巻、[[紀伝体]]の[[南唐]]の史書。そのうち、[[本紀]]3巻、[[列伝]]15巻。西暦937年の[[李ベン|先主李昪]]の建国より975年の[[後主]][[李イク|李煜]]在位時に[[北宋]]に滅ぼされるまでの[[南唐]]39年にわたる史的出来事を記述する。この書の叙述は簡明で要を押さえており、南唐史に関する多くの珍しい史料を保存しており、南唐史中の佳作である。
==修史過程==
[[陸游]]は[[馬令]]の『[[南唐書 (馬令)|南唐書]]』がいまだに完備していないと認め、そこでその煩瑣な所を削り遺漏を補って、重ねて編集撰述を加え、そのまま『南唐書』と名付けた。陸游がこの書を撰述する時に掲げた修史原則は、「耳目の接する所を以て、隧碑（すいひ）・行述の諛辞（ゆじ）を察し、衆論の存する所を以て、野史・小説の謬妄（びゅうもう）を刊（かん）す。天下の公を取って、一家の私を去る」<ref>『謂南文集』巻4「除修史上殿紮子」、人民文学出版社、1979年、195頁。</ref>ものであった。当該書の叙述は簡約にして完備、原理原則を持ち、そのため後人が極めて尊崇し、刊行印刷・校注するものが甚だ多い。[[元 (王朝)|元]]の[[天暦 (元)|天暦]]初め、戚光はこれの音釈1巻を作り、程塾らが校刊し、が序を作った。[[清]]の[[道光]]2年（1822年）には緑簽山房刻本があり、[[嘉慶 (清)|嘉慶]]年間の湯運泰『南唐書注』18巻と『唐年世総釈』1巻・『州軍総音釈』1巻を附録していた。1915年には劉氏嘉業堂刻本があり、[[康熙]]年間の周在浚『南唐書注』18巻および劉承幹『南唐書補注』18巻を附録していた。現存、最も早い本は[[明]]の[[嘉靖]]43年の銭穀抄本である。
==後世の評価==
後人は、その『南唐書』のために作られた題辞が総括して語っているという。「申屠令堅の死を誓って国に報ずるが若し。廖居素の井中に立死する、李鄒延の降書を草さずして殺さる、段処常の契丹虜中に面誚（めんしょう）する、趙仁沢の呉越王に拝せざる、張雄の満門 難に死する、喬匡舜の親政を極諫する、張義方の力（つと）めて紀綱を振るう、欧陽広の疏して辺鎬を劾する、高遠の楚の守り難きを料（はか）る、陳褒の十世同居する、此れ皆な馬書の無き所。」<ref>『南唐書』が附した題辞，〈叢書集成初編〉本，中華書局出版社，2006年，86頁。</ref>
明のは、「余 始めて馬令の『南唐書』を得（う）、為政を以て酒後談の資に作（な）すべきのみ。陸游が新修せる『南唐書』得るに及んで之れを読めば、乃ち正史・稗官 迥（はる）かに自ずから懸別するを知り、未だ偽史を以て之れを忽せにするべからず。」と言っている<ref>陸游『南唐書』「南唐書題辞」（4頁）に見える。</ref>。
『四庫全書總目提要』は「『南唐書』十八巻、『音釈』一巻、宋の陸游の撰。……馬令の書と游の書と盛んに伝えらるるも、而（しこう）して游の書 尤（もっと）も簡核にして法有り。」と言う<ref>『四庫全書總目提要』</ref>。
== 内容 ==
# 巻一 烈祖本紀
# 巻二 元宗本紀
# 巻三 後主本紀
# 巻四 宋斉丘列伝
# 巻五 周徐査辺列伝
# 巻六 周柴何王張馬遊刁列伝
# 巻七 徐高鐘常史沈三陳江毛列伝
# 巻八 三徐三五二朱胡申屠喬睦列伝
# 巻九 劉高盧陳李廖列伝
# 巻十 張李皇甫江欧列伝
# 巻十一 馮孫廖彭列伝
# 巻十二 孟陳韓朱列伝
# 巻十三 劉潘李厳張龔列伝
# 巻十四 郭張林盧蒯二陳列伝
# 巻十五 周鄭李三劉江汪郭伍蕭李虞朱王魏列伝
# 巻十六 後妃諸王列伝
# 巻十七 雑芸方士節義列伝
# 巻十八 浮屠契丹高麗列伝
== 参考文献 ==
[[Category:中国の歴史書]]
[[Category:五代十国]]
[[Category:南唐]]
[[Category:紀伝体]]
[[Category:中国の史学史]]
[[Category:12世紀の書籍]]
==修史過程==
[[陸游]]は[[馬令]]の『[[南唐書 (馬令)|南唐書]]』がいまだに完備していないと認め、そこでその煩瑣な所を削り遺漏を補って、重ねて編集撰述を加え、そのまま『南唐書』と名付けた。陸游がこの書を撰述する時に掲げた修史原則は、「耳目の接する所を以て、隧碑（すいひ）・行述の諛辞（ゆじ）を察し、衆論の存する所を以て、野史・小説の謬妄（びゅうもう）を刊（かん）す。天下の公を取って、一家の私を去る」<ref>『謂南文集』巻4「除修史上殿紮子」、人民文学出版社、1979年、195頁。</ref>ものであった。当該書の叙述は簡約にして完備、原理原則を持ち、そのため後人が極めて尊崇し、刊行印刷・校注するものが甚だ多い。[[元 (王朝)|元]]の[[天暦 (元)|天暦]]初め、戚光はこれの音釈1巻を作り、程塾らが校刊し、が序を作った。[[清]]の[[道光]]2年（1822年）には緑簽山房刻本があり、[[嘉慶 (清)|嘉慶]]年間の湯運泰『南唐書注』18巻と『唐年世総釈』1巻・『州軍総音釈』1巻を附録していた。1915年には劉氏嘉業堂刻本があり、[[康熙]]年間の周在浚『南唐書注』18巻および劉承幹『南唐書補注』18巻を附録していた。現存、最も早い本は[[明]]の[[嘉靖]]43年の銭穀抄本である。
==後世の評価==
後人は、その『南唐書』のために作られた題辞が総括して語っているという。「申屠令堅の死を誓って国に報ずるが若し。廖居素の井中に立死する、李鄒延の降書を草さずして殺さる、段処常の契丹虜中に面誚（めんしょう）する、趙仁沢の呉越王に拝せざる、張雄の満門 難に死する、喬匡舜の親政を極諫する、張義方の力（つと）めて紀綱を振るう、欧陽広の疏して辺鎬を劾する、高遠の楚の守り難きを料（はか）る、陳褒の十世同居する、此れ皆な馬書の無き所。」<ref>『南唐書』が附した題辞，〈叢書集成初編〉本，中華書局出版社，2006年，86頁。</ref>
明のは、「余 始めて馬令の『南唐書』を得（う）、為政を以て酒後談の資に作（な）すべきのみ。陸游が新修せる『南唐書』得るに及んで之れを読めば、乃ち正史・稗官 迥（はる）かに自ずから懸別するを知り、未だ偽史を以て之れを忽せにするべからず。」と言っている<ref>陸游『南唐書』「南唐書題辞」（4頁）に見える。</ref>。
『四庫全書總目提要』は「『南唐書』十八巻、『音釈』一巻、宋の陸游の撰。……馬令の書と游の書と盛んに伝えらるるも、而（しこう）して游の書 尤（もっと）も簡核にして法有り。」と言う<ref>『四庫全書總目提要』</ref>。
== 内容 ==
# 巻一 烈祖本紀
# 巻二 元宗本紀
# 巻三 後主本紀
# 巻四 宋斉丘列伝
# 巻五 周徐査辺列伝
# 巻六 周柴何王張馬遊刁列伝
# 巻七 徐高鐘常史沈三陳江毛列伝
# 巻八 三徐三五二朱胡申屠喬睦列伝
# 巻九 劉高盧陳李廖列伝
# 巻十 張李皇甫江欧列伝
# 巻十一 馮孫廖彭列伝
# 巻十二 孟陳韓朱列伝
# 巻十三 劉潘李厳張龔列伝
# 巻十四 郭張林盧蒯二陳列伝
# 巻十五 周鄭李三劉江汪郭伍蕭李虞朱王魏列伝
# 巻十六 後妃諸王列伝
# 巻十七 雑芸方士節義列伝
# 巻十八 浮屠契丹高麗列伝
== 参考文献 ==
[[Category:中国の歴史書]]
[[Category:五代十国]]
[[Category:南唐]]
[[Category:紀伝体]]
[[Category:中国の史学史]]
[[Category:12世紀の書籍]]
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